設計の基礎 How to design origami planes

(青字は平成26年3月24日に書き加えたところです)

「設計」というほど大げさなものでもありませんが、40年近く(概ね昭和50年頃から)スタイルにこだわった折り紙飛行機を作って来ましたので、覚え書を残しておきたいと思います。他人の作品を真似して作っているだけでは、折り紙飛行機の本当の楽しみは味わえません。新しい作品を生み出していくことにこそ悦びがあるのです。自分からアクティブに攻めていけば、折り紙は決して難しいものではありません。慣れてくるとかなり自由自在で、まるで粘土細工をしているような感覚になってきます。

以下に書いてあることを参考にして、ぜひ皆様オリジナルの作品を生み出して頂きたいと思います。

 紙について

紙飛行機作りに用いる紙は、大体が四角形、それも正方形か長方形のことが多いかと思います。

長方形の中で、「短辺:長辺」が「 1 : ルート2 」のものを、中村榮二先生はとくに「真方形」と呼んでおられます。JIS規格のA4判とかB5判などが真方形の代表です。真方形の特徴は、長辺を半分に折っても、やはり「 1 : ルート2 」の比率を保つことにあります。

他に、三角形とか、台形とか、五角形とか、中には円から折り始める人もいるかも知れません。

しかしこのような紙は、既製品を入手するのは困難ですし、わざわざ自分で裁断するのも面倒です。

で、結局私も正方形や真方形をよく用います。

 紙の向き

飛行機は大体左右対称に作ります。その、頭と尻尾とを結ぶ線を、私は「中央線」と呼んでいます。別に「中心線」でも構いませんが…

大抵は紙を半分に折って中央線をマークするところから紙飛行機作りが始まりますが、このとき、紙と中央線の位置関係で、大きく4通りのパターンに分かれます。

つまり正方形ならば、ある辺(どの辺でも同じ)の垂直二等分線を中央線とする「縦」(□)か、対角線を中央線にする「斜め」(◇)、真方形ならば短辺の垂直二等分線を中央線にする「縦」か、長辺の垂直二等分線を中央線にする「横」ということです。

中には中村榮二先生の「初雁」「如名さんカモメ」(だったかな…?)といった作品のように、真方形の「斜め」などと言う奇抜な作品もあり、天才的なものを感じます。

大雑把に言えば、細長い機体には真方形の縦、幅広い機体には真方形の横、その中間的な機体には正方形の縦を用います。正方形の斜めを採用すると、大きくて格好の良い垂直尾翼が作れます。拙作品ではF-136戦闘機が採用しています。

ここで、飛行機の各部の名称を下図に示します。

先ほど「垂直尾翼」と安直に言いましたが、「垂直尾翼」といえば「垂直安定板+方向舵」、「水平尾翼」といえば「水平安定板+昇降舵」のことです。また単に「主翼」といえば、補助翼やフラップも含んでいるとご了承下さい。

 機体の基本構成

私の勝手な用語で、「シングル」「ダブル」「セミダブル」というのがあります。

「ダブル」: 拙作品の「F-15イーグル戦闘機 (Ver.1)」の折り図を参照して頂きたいのですが、この作品のように最初に用紙を真っ二つに折って(中央線のことではなく、それとは直交する折り目で折る)、伝承折り紙の「紙鉄砲」のような45度の中割り折りで機体を上下二層に分離してしまうのが、「ダブル」です。拙作品ではこのF-15 (Ver.1)と、それを大幅に改造して水平尾翼と左右のジェットエンジン、さらに背中のエアブレーキまで増設してしまった(→改造の域を超えていますね)「F-135戦闘機」だけが、「ダブル」です。

「シングル」: これに対して、「F-4ファントムⅡ戦闘機」や「F-136軽戦闘機」のように、小さな折り返しやヒダ状に折った部分(タック)はあるものの、基本的に大きな分裂はない機体が「シングル」です。両機とも機首先端を少し折り返しており、またF-136は胴体下の空気取り入れ口や主翼前縁の屈曲(ダブルデルタ翼)を表現するために横タック(中央線と直交するタック)を一つ入れていますが、「シングル」に分類されます。「ステルス戦闘機F-X」という試作機も、「正方形の縦のシングル」で、前後3箇所に横タックを入れて、空気取り入れ口や水平・垂直尾翼をひねり出しています。他には「タイフーン」「F-104スターファイター」もシングルです。

「セミダブル」: ではセミダブルはというと、代表は「F-128D AH-MCA」(アムカと読む)です。「F-14」「F-15(Ver.2)」「トーネード」「C-15」(F-18のスペイン空軍での呼称)「VFA-17」それに各種旅客機もセミダブルです。用紙を、真っ二つではなく、大小2つのパートに分けるのが特徴です。一般に、胴体や操縦席や水平・垂直尾翼などを作る大きなパートと、主に主翼を作る小さなパートに分けます。もうおわかりでしょうが、セミダブルは大きくて割合細長い主翼と、独立した水平尾翼を有する、一般的な飛行機の形(多くの旅客機のような)を作るのに向いています。

 ここまでのまとめ

作りたい飛行機のイメージがわいたら、紙の形や向き、機体の基本構成を考えます。旅客機タイプならば「真方形、縦、セミダブル」とするのが一般的で、超音速旅客機コンコルドみたいな細長い無尾翼機ならば「真方形、縦、シングル」、アメリカのステルス爆撃機「B-2」ならば(まだ作ったことがありませんが)「真方形、横、シングル」「真方形、ダブル」といったところでしょうか(「ダブル」には縦・横はありません)。

リアルな作品作りのポイント

伝統的な折り紙飛行機というと、どうしても三角凧のような形のものが多いのですが、本物の飛行機のようなリアルな折り紙飛行機にするには、以下のようなポイントを押さえていく必要があります。

(1)胴体と翼を明確に区分けする

(2)垂直尾翼を際立たせる

(3)水平尾翼や先尾翼を独立させる

(4)操縦席を表現する

(5)その他…可変翼、ドッグツース、ブレンデッドウイングボディなど

 (続く)…この先は、工事中です